第10回京都21世紀教育想像フォーラムは、2017年5月28日(日)14:00より、
<日本の未来と人づくり>グローバル新時代の次世代教育像~混迷の世界を拓くカギは日本理解&文化の力~と題し、立命館朱雀キャンパス大講義室にて開催いたしました。

開会挨拶のあと、第1部は、堀場厚氏による基調講演が行われました。

・たった1つの骨が折れただけで、バランスが崩れる。こんなことぐらいと見過ごせば、それが全体に大きな影響を及ぼすことになる
・これからは、ゴールが決まっているジグソーパズルではなく、完成形が決まっていないレゴ型の発想が必要である
・肌感覚で小さな失敗をすることが大事。そのためにも自ら手を挙げて挑戦すること
など、皆が共感できる内容をわかりやすい事例をあげながらお話いただき、ご参加いただいた皆様には、今の世の中において何が必要なのかを改めて自分に問い直す時間になったのではないかと思います。

 

 

 

第2部は、京都堀川音楽高等学校の声楽アンサンブルより、スタート。
故郷・春の小川・うみなどを含む2曲目の歌唱メドレーでは、「声楽アンサンブルの歌唱メドレーはよく知っている歌で心のなかで歌ってしまった」「京都堀川音楽高校の声楽アンサンブルが素晴らしかった」という感想が多く寄せられました。時間のない中、心に残る素晴らしい合唱を披露していただきありがとうございました。

 

 

パネルディスカッションでは、
パネリストとして近藤誠一氏、門川大作氏、吉田美喜夫氏、堀場厚氏、コーディネーターとして恩田徹氏にご参加いただき、多岐に渡るお話をいただきました。
近藤氏からは大局観を持つことと自分自身の座標軸を持つことの大切さ、吉田氏からはラーニングコモンズといった色々な立場の人が誰でも交流できる学びの場作りが重要であること、門川氏からは京都人の6つの得意技は日本人全体にも通ずること、堀場氏からはフランス人と京都人に似たところがあることなど、それぞれの立場で興味深いお話をしていただきながら、京都の力、文化の力、そして教育の力を説いていただきました。最後に恩田氏から聞いた話をそれぞれが持ち帰った場所で生かしていただきたいとまとめていただき、会を終えました。

参加者からは、基調講演の感想として「大変貴重な講演を聴かせて頂いた、情報社会に流されぬよう個々の生活においても活かしていきたい」「子育て中の自分にとってヒントとなることが多かった。」「実体験より得られた考え方が述べられ探究心が大切であることを示され有益でした」「専門以外の学びが重要という主張に心から賛同」「ご経験や実践をふまえ、ご自身の言葉で伝えられている内容や姿勢に感銘をうけました。」

パネルディスカッションでは「各パネリスト、コーディネーターの方のコメントが短くわかりやすく、最近拝聴した討議の中で秀逸だった」「人生を考えるうえでも素晴らしいお話を聞かせいていただいた」「大人が本気になると社会を必ず変えることのできる確信を持ちました」「学生からの質問を発展させ、さらに議論を深めていただけたことが良かった」「社会や大人の考えた枠に子どもたちをはまこんでしまうのではなく、多様な価値観やモノの見方を受け入れていく姿勢が大切だと思いました」
など、多くの感想がよせられました。ありがとうございました。

今回の講演には教職員、社会人や学生など合わせて約300名にご参加いただき、大盛況のうちに終了いたしました。ありがとうございました。

当日の様子は、5月28日のKBS京都「京都新聞ニュース」にて放映、5月29日付け、京都新聞に掲載されました。
6月29日には、京都新聞より採録特集の掲載を予定しております。

 

参加大学生の感想

基調講演では、教育において探究心が1番大事なポイントだという言葉が最も印象に残りました。ジグゾーパズルのようにきれいに組み上げ、ひとつひとつの完成形は人それぞれであるけれど、それを最終目標にしてはいけない、基礎をしっかりした上で新たな発想をしていくことが大事だということにすごく共感できました。探究心を育むためには基礎が大事であるように、教育には近道はないと思いました。しかし、今日ではマニュアル化社会になり、例えば理科の授業でも危険だからという理由で実験を取り止めたりするなど肌感覚で体験することが少なくなってきています。このままでいいのだろうか。「自分の目が一番信用できる」、「自分の体験してきたことや信念を大事にする」ということの大切さを再確認させられました。私自身もこれから信用できるものや信念が持てるような様々な経験をしていきたいと思いました。

パネル討議では近藤先生が指摘されたグローバル化社会を生きるこれからのリーダーに必要なものは1、大局観をもつ。2、自分自身の座標軸をもつということも印象に残りました。客観的な世界標準があって日本はそれに合わせているという発想は間違いだ。それは、その時に力を持っていた人が自分の考えを押し付けているのに過ぎない。他者のつくった考えに追いつくのはいいが、追いついた後には自分たちで世界標準を作るという努力が必要になると感じました。そうした日本人ならではの世界標準づくりができるのは、京都の強みだと考えました。それは、門川市長が話されたような京都人の生き方であり、また日本人の生き方である1.目利き2.試み3.極み4.巧み5.始末6.おもてなしであると思いました。

私は、将来、小学校教諭になることを目指しています。今回のフォーラムは、新しい時代の教育の在り方を探る良い機会になると考え、以前から参加を楽しみにしていました。
今回のフォーラム参加は、私自身も京都の大学で学ぶ意味や、京都の教育について考えるとても良い機会になりました。当日は、スタッフとして大会運営に関わることもでき、大変貴重な経験ができました。

(京都華頂大学現代家政学部3年 堀池真輝)

 

参加大学生の感想

司会をするにあたって、一番大変だったことは事前の準備でした。何度かミーティングに参加させていただいたときに、運営者の方々が綿密な企画書を作って何度も打ち合わせをされたり、当日の流れを確認したりしているのを見て、本当に準備が大変そうにと感じました。司会原稿は予めいただいていたものを読み易いように自分の言葉ですべて打ち直して当日に臨みました。その甲斐あって緊張することもなく、ゲストの先生方のお話を一番近くで拝聴でき、いい勉強になりました。このような経験を通して、イベント企画運営者の影の努力、さらに当日の出演者の皆様や参加者の皆様のご協力があってこそイベントが成功するのだと、改めて学びました。

イベントの内容は、基調講演からパネルディスカッションまで、貴重なお話ばかりでした。中でも、21世紀の個人評価についてのお話は興味深いものでした。
「これからの時代は、個人の評価の仕方が重要であり、従来の日本のように、正解やゴールがあって、そこに向かって既存の道を歩いていく社会の在り方はもう古い。教育でも何でも正解がある中で育ってきた人は、物事に対して「正解」の確信ができるまで発言しない。でもそれでは正解がないものを考えるときに、自分で考えることができない。それではこれからの世界では通用しないというお話は特に印象に残っています。

このことは私自身にもあてはまることであり、先生方のお話を聞いて人材が求められることを知りました。2年後、私は社会に出ていきますが、新しいものを想像できる個性や能力が認められ、かつそれらが活かされるような社会を期待したい。そのためには、まず社会が個人を認識し、他人と違うところを個性として評価できる社会に変わる必要があるのではないか。またそのような社会に変えていくのはまさに自分たちの世代じゃないのか、そのように思いました。そのためにも、今自分がしているスタッフ活動や、今回のテーマである「文化の力」が多少なりとも必要となり、それが京都で学ぶ意義なのではないかと思います。今回このような機会をいただき、自分自身また一つ成長させていただくことができました。学生の間に、今よりもさらに多くの経験をして、社会に出たときには、今までしてきた経験を発信できるように大学生活を頑張りたいです。

(同志社大学政策学部2年 神農菜々美)