第44回京都教育懇話会例会は、2018年4月24日(水)18:30より、<日本の未来と人づくり>世界一速い会社の秘密~企業家人材育む京都の魅力~と題し、講師に竹田正俊氏(株式会社クロスエフェクト代表取締役)、ファシリテーターに中西將之氏(株式会社ツナグラボ代表取締役)をお招きし、立命館朱雀キャンパス多目的室にて開催いたしました。

最初に、竹田氏から、京都はコンパクトシティであることからFace to Faceで(直接、面と向かって)多様なものをかけ合わせて新しいものを生み出すFusion(融合)のしかけが魅力であるとお話いただきました。
竹田氏が起業され現在に至るまでのご経験を通して、「使命の経営」「時間管理」「原価管理」という3つのマネージメントの実践が成長路線の維持につながったことをご提示いただきました。

講師の竹田正俊氏

「時間は未来からやってくる」というお話。到達すべき未来の一点から逆算する、そこから階段が降りてくる、階段の一段一段にやるべきこと(目標)を乗せていく、足元まで細かく細かく刻んで目標を立てることで、人間はどこへでも登れる、未来は必然であるというお話をいただきました。
そして、国立循環器研究センターの白石先生の「赤ちゃんの命を救いたい」という声から心臓疾患患者の手術成功率を高められる「術前シュミレーター」の開発・普及をされたこと、その人命救助の一端を担うことを「使命」とされ経営を進めてこられたことでした。仕事は「内容」で選ぶのでなく「意義(使命)」で選ぶこと、そして使命をもとに「貢献」することで感謝され、応援してくれる人も現れるということをお聞きしました。

その後、中西氏との対談を実施しました。
先ほどのお話と「働き方改革とはどうつながるのか」という中西氏の質問に対しては「休日出勤禁止、残業は最小限とするなど時間管理を徹底することで、限られた時間で最高のパフォーマンスを出すことができる。世界一速いということは顧客の願いであり、顧客だけでなく、自分たちの幸せにも繋がる。」と返答いただきました。
「今の学生をどう見ているか」「学校に必要なことは何か」ということに対しては、「日本では起業するための教育を受けておらず起業が選択肢の中にない。スタンフォード大では一番優秀な人は起業する。能力ない人が大企業に勤める。日本の学生は高い技術を持っているが経営ができない。ビジネスの「基本と原則」を学校で教えることが求められている」と課題提起いただきました。

続いて、中西氏の進行で、会場の参加者の方からの質問にもお答えいただきました。
「社員の方はクロスエフェクトという会社をなぜ選んでいるのか」という質問に対しては「人の命を救える、よい製品をいち早く社会に出せる、そのことが社会貢献につながると考えているのではないか。顧客に喜んでもらいたいという思いを持っている学生とマッチしているのではないか」と述べられました。
「3Dモデリングになぜ着眼したのか」という質問に対しては、「父の影響もあり、ものづくりに興味があったこと、しかし、安い労働力を前提とした大量生産ではなく、脳に汗をかくものづくり=知識労働をしたいと考え、3Dモデリングを使った設計を通して開発に取り組んだ」と経験を通してお話いただきました。
「中学の校長に就任したら教員や生徒にどのような言葉をかけるか」という質問については、「『すべては想いから始まる』ということ。やりたいことを強く思うことでゴールが定まり、時間が降りてくる。強く思えば実現するということを伝えたい。また、『命は無限ではない』ということ。命を有意義に使うこと、限りがあると自覚することで、計画し、生き方が変わる」と熱く語っていただきました。

質問に答える竹田氏

ファシリテーターーの中西氏

 

 

 

 

 

 

今回の講演には社会人や教職員・学生、関係者など合わせて約70名にご参加いただきました。参加者のみなさんも、積極的に質問いただいたり、熱意を持って話を聞いたりしておられました。「講演を伺って、再度、若い世代の人とも話をして共に高まりたい」「オンリーワン、高付加価値の会社を作られた経営の秘密についての講演は興味深いものでした」「改めて起業する人の偉大さを知った」「限りある時間を最大限に使うよう行動を改めなければと強く思った」「使命をまず明確に設定すること、時間に対する意識改革、問題の切り分けなど、組織の中に浸透させていく必要があると感じました」「顧客に感謝される仕事を私もやりたい。そこに大変共鳴しました」などの感想をいただきました。竹田氏の使命や時間をマネージメントする経営から大きな刺激を受けられたようです。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

会場の様子