「京都と西郷家」をテーマに、磯田氏にリーダー像について講演頂きました

第11回京都21世紀教育創造フォーラムは、2018年5月27日(日)14:00より、

<日本の未来と人づくり>グローバル新時代の次世代リーダー像~明治150年、歴史に学び混迷の世界拓け~と題し、立命館朱雀キャンパス大講義室にて開催いたしました。


開会挨拶のあと、第1部は、磯田道史氏(国際日本文化研究センター准教授)による基調講演が行われました。磯田氏には、「京都と西郷家」というテーマで変革時代のリーダー像について、お話いただきました。

磯田道史氏

「理念・目的を掲げるだけでなく、具体策を提示して実行すること」「公益になることは人前で話す」「時代の流れに沿って考える」「実行することが肝要」「AIにできない目的の確立をできるような人材育成を」など、リーダーを育てるために教育の目指すべき方向を見直す機会になったのではないかと思います。

 

 

 

京都堀川音楽高校の生徒による演奏披露で会場も華やかに

第2部は、京都市立京都堀川音楽高等学校の生徒によるヴァイオリンとフルートの演奏でスタート。

(左)大島快晴さん(右)水車美月さん(ともに京都堀川音楽高等学校2年生)

ヴァイオリン、フルートの美しい音色と素晴らしい表現力に、会場のすべての人が惹きつけられ、優雅な時間の中で音楽の素晴らしさを感じさせていただきました。また、選曲や演出なども自分達で主体性を持って考えた意欲や気配りの感じられるステージでした。参加者の皆様からも、「音楽高校の生徒さんの演奏がとてもよかった」という感想をたくさんいただきました。

 

 

 

行政・教育・企業のトップが会したパネルディスカッション

パネルディスカッションでは、パネリストとして、門川大作氏(京都市長)、堀場厚氏(株式会社堀場製作所代表取締役会長兼グループCEO/本懇話会会長)、森島朋三氏(学校法人立命館理事長)、ファシリテーターとして小川理子氏(パナソニック株式会社執行役員テクニクスブランド事業担当、アプライアンス社副社長技術担当)にご参加いただき、リーダー人材育成のあり方を行政、企業、教育機関のそれぞれの立場から問題提起していただきました。

パネルディスカッションの様子

<門川氏>

共有するリーダーであること、明確なビジョンを持って仕事をすすめることができる人であること。

<堀場氏>

思想を考える目的を持ち、それを具現化することが必要、リーダーは必ず失敗するが、そこから学びチャレンジする人を育てること。

<森島氏>

グローバル化は多様性を日常として受容することができているか、好奇心を育み、それを持ったらやることができる教育の重要性。

<小川氏>

知らないことは無限にありそこに次の未来があること、働き方改革を通してクリエイティブな時間を作ること、他流試合をしていかないと世界においていかれること。

など、それぞれの経験を通したお話を盛り込みながら、パネリストの意見をまとめていただきました。

 

参加者からの感想<基調講演>

「リーダーとは、理念・目的を持つだけでなく、具体策を作り実現に向けてまわりの人たちを巻き込んでいける人のこと。その通りだと思う。松下幸之助の経営哲学と同じですね。」
「西郷の人となり、スケールの大きさがリーダーの要素の一つだと分かった。」
「いくらAIが発展しても、人間を追い越せない領域があることをしっかり認識して子供たちを育んで生きたいと感じました。」
「AI、デジタル時代の訪れの中である一種の怖さを感じている。その中で磯田さんの話にある先の見えない中での明治維新のすごさというものを感じた。特に人を育てるという精神が京都に根付いている者を感じる。大学の多さ、多様性もその一つかと思う。」
「明治維新では西郷隆盛が重要な役割を担った。それができたのは理念を掲げそれを実行できる具体的な戦略を持っていたからだ。これからの社会でも必要とされる人材は、ルールに縛られず、目的・方向性を考え、実行できる人材であり、そのために教育システムが必要。」など、

 

参加者からの感想<パネルディスカッション>

「三者三様の教育論、グローバル論、とても興味深かった。ファシリテーターの小川さん、分かりやすく的確な進行でパナソニックの話題も入れながら、あっという間の2時間でした」
「これからはさらにオリジナルティが大切だなと。クリエイティブなものは人がしなくてはいけないので、殊更な心配はいらないのかも。やはりこれからは英語が必要で、多様性を受け入れられる心のやわらかさも要ると思った。子育てに役立てたいです」
「グローバル化、AI、人工知能が進む中で自分の軸足をどこに置くかということが大事であり。そこを小さなときから教えていくことが必要!」
「京都の企業の独創性を知ることができました。『未来を作るのは人間』この言葉に励まされました。教育は「好奇心」。まさにその通りだと思います」
「多様性、グローバリゼーション、教育、リーダー像について多くの意見に触れることができ、とてもいい機会になりました。特にリーダーは情報・課題・危機感・文化などを共感すること、失敗を恐れないこと、信念を持つことなどを学びました」
など、多くの感想がよせられました。ありがとうございました。

 

今回のフォーラムには、教育関係者、社会人や学生など合わせて会場が満席となる約520名にご参加いただき、大盛況のうちに終了いたしました。当日の様子は、5月27日のKBS京都「京都新聞ニュース」にて放映、5月28日付けの京都新聞に掲載されました。また6月26日には、京都新聞より採録特集の掲載を予定しております。

 


司会・宇野理穂さん(京都華頂大学3回生)のコメント

私が司会をさせていただいたのは、今回が二回目でした。このような役目を二度もさせていただけたことに感謝いたします。

司会をするにあたって、一番大変だったことは事前に準備することでした。予め司会原稿をいただき、それを何度も読む練習をしました。本番も緊張はしましたが、練習の成果がでたと思います。また、当日まで何度も原稿が変わりましたが、それに対応する力、臨機応変さが培われました。司会をすることで、事前に準備しておく大切さも学べました。また、500人を超える大勢の聴衆の前で司会をさせていただくという、なかなかできない体験ができ嬉しかったです。

基調講演やパネルディスカッションでは、1番近くで貴重なお話を聞くことができ勉強になりました。舞台袖では、テレビやメディアで活躍されている磯田先生と直接お話する機会もあり、とても幸運でした。磯田先生の講演は西郷隆盛から今必要なリーダー像についてのお話でした。その中で一番心に残ったことは、「リーダーとは具体策を実行できる人」ということです。誰でも口にするだけなら簡単ですが、私は行動できる人になりたいと考えさせられました。パネルディスカッションでは、AIやデジタル革命など多様化する社会で、明確な目的を設定できるようなリーダー力、共に学んでいける力、自分をしっかり持つことの大切さを知りました。
私は教員を目指していますが、子ども達にリーダー力や未来を見据えられる力をつけられる教員になりたいと思いました。そのためには、まず自分のリーダー力をつけなければなりません。あと2年でこの力をしっかりつけ社会に出ていきたいと考えられるいい時間になりました。

貴重な体験をさせていただきありがとうございました。


先の見えない今の時代の中で、歴史を通してリーダー像、そしてこれからの教育のあり方を考えようというこのフォーラムに、熱い思いや学ぼうという意欲をもって集まっていただく方々がこんなにたくさんおられることに感銘するとともに、京都、日本の可能性を感じる一日となりました。このフォーラムをきっかけとして、私達、京都教育懇話会とともに教育という「未来の創造」を一緒に考えていただく仲間の輪が広がっていくことを願っています。


<懇話会NEWS!>

第45回京都教育懇話会例会を8月3日(金)18時から漢検・漢字博物館で開催します。
今回は<日本の未来と人づくり>「明治150年に思うこと~ダイバーシティ京都のいま未来~」(仮)と題して、
歴史都市京都の変遷、進化に思いを馳せる門川大作京都市長の胸の内を
じっくり語ってもらう場にと企画、準備しています。真夏の夕べ、奮ってご参加下さい。