第54回例会を終えて

株式会社MIYACO 教育事業担当 仲田 匡志

 この度は、第54回例会に共催として参加をさせていただきまして、誠にありがとうございます。
あらゆる垣根を越えて、議論・研鑽し、共に学び発信する場をつくられてきた京都教育懇話会様。これまで数々の著名な有識者の方々や経済を盛り上げる力強い企業リーダーが御登壇をされ、これからの社会、人づくりについての学びの機会を頂いておりました。

ですので、まだまだ小さなベンチャー企業である弊社にお声がけいただけるとは夢にも思っておりませんでした。
HPに掲げられている『地域や立場を問わず、共に集い、学び、研鑽し、そして情報発信する「場」づくりを目指します』は本当だったと、私や今回ご視聴された皆様も、登壇された門川大作市長と若き社会起業家のセッションを見て感じられたことと思います。

VUCA(予測不能)時代と言われる現代には、1つの分野・思考・価値観だけでは通用しないことが多いと聞きます。4名登壇者からは、今という現状を捉え、過去から学び、未来をどう描くか。異なる分野や視点、知恵を持ち寄って、考えられたお話しをいただきました。

○「私はどうありたいか」を問いかける機会を ?自己理解と感性を磨く場づくり-

矢島氏から、自身がどうありたいかを意識することの必要性をお話しいただきました。ありたい姿があると、自然と自分が何をしたいのか、思考が、行動が変化する。
矢島氏の会社では、仕事へのトレーニングはなく、自己理解を深める取り組みをされているそうです。そうすると、自然と自身のやりたいことや叶えたいことが、また会社でできることが重なり、自身も事業も良い方向に力が向くように。
より主体的で、意味のある行動につながる仕組みをつくられていました。

子どもたちには、「自分の心の声」を聞くことが大事で、そのためにも声を聞く感性を磨く機会が重要であるとお話しをされました。
様々なセクターで活躍する大人が学校の現場に出入りするなど、新たな発見や刺激を受ける機会によって、子どもたちが感じたことを言葉にし、感性を磨くことができる。
そうした学びの機会の必要性を解かれました。

感性を磨き、自分の心の声を拾い上げる。どんなことを自分は心地よいと思うのか、また何を自分が願っているのかを整理する。そうすることが、この予測不能時代において、揺るぎない自分という羅針盤となるのだと感じました。1対多数の教育から、1対1の一人一人に向き合う教育の必要性に気付くお話しでした。

○誰一人取り残さない教育 -持続可能な社会のための学び-
勝山氏から、子どもたちだけでは変えることが困難な外的要因(経済的・身体的・家庭的要因)によるマイナスの影響をどのように取り払うかという問題提起がなされました。非行をやめたいと思っていても、それが当たり前の環境下では変わることは難しい。
願う方向にシフトために環境を変える、移動させてあげることが重要であると説かれました。

勝山氏は、「衣・食・住」を全て負担し、子どもたちが自分と向き合い、社会とのつながりを持つプログラム「ヤンキーインターン」*1を実施されています。
子どもたちだけではどうにも変えることができない環境を、インターンという制度から、環境を移動させる仕掛けをされています。

今まさに、その発展系となるプログラムを京都で実施するために取り組まれており、どんな環境にいる子どもたちにも、選択肢を広げ自らが進路選択をする自由とその機会を提供するべく奔走されていると語られました。

子どもたちは環境を選ぶことは難しく、その責任は誰にあるのでしょうか。
勝山氏のお話から、教育や社会は責任論から離れ、こうしたいという未来に向けて協力することが必要であると説かれた門川市長の言葉が印象的でした。

○ 一人一人に向き合う多様な大人との学びの場 -令和版番組小学校-

中馬は明治時代に京都の町衆が立ち上げた「番組小学校」を例に、これからの教育の未来を語りました。
コロナ渦の苦しい今がまさに、明治維新直後、人口が減少し産業の先行きが見えなかった京都と重なる点があると指摘。この時、町衆は「まちづくりは人づくり」と次代の担い手の育成に注力すべく番組小学校を開校したことを紹介いたしました。
それから約150年の後の現代、中馬は10代の子どもたち一人一人の興味関心を探求し、「やってみたい!」を形にするサポートをする事業を展開しています。多様なかっこいい大人も巻き込み、自分を磨くだけでなく、可能性を広げ、次代に必要な生きる力を育む場をつくる学び場をつくられています。

これまでの矢島氏、勝山氏の願いと重なる点が見受けられ、
「どうありたいか」=「自分自身への興味関心の探求」
「自己選択の自由」=「やってみたい!を形に」
未来が望む担いを育むためのこれからの教育のあり方を、若手起業家3名が同じように見ているのではと感じました。

こうした若手の意見を、門川市長が1つ1つ受け止められ、形にするためのエールを送られる姿に胸が熱くなりました。暗いニュースが多い中でも、未来を創る兆しが京都から生まれる。未来への期待を感じるセッションでした。

最後になりましたが、御登壇いただいた門川大作 様、勝山 恵一 様、矢島 里佳 様をはじめ,例会の開催にご支援賜りました皆様に厚く感謝申し上げます。ありがとうございました。

*1 https://hassyadai.com/lp/yankee_intern02/?rid=1